下流老人

川の下の方に住んでいる老人、ではなくて、年収200万円以下の高齢者を指すそうです。国民年金の満額が6万円とちょいですから、年金だけで暮らしているとすれば自営業だった人はすべて、厚生年金受給者でもかなりの人が“下流老人”の仲間入りをしてしまう勘定です。いきおい生活保護のご厄介となる老人が増えるのは無理からぬことで、大体が老後を年金のみでは生活できないような制度自体に問題があり、歴代自民党政府はそういう状況を放置、もしくは助長してきたと言わざるを得ないのです。比較的年金財政が豊かであった時には、愚にもつかないリゾート開発や公共投資に莫大な年金資金をつぎ込み、寄ってたかって食い物にしてきた経緯があります。高齢化時代が来ることは分かっていたのですから、年金制度の設計変更や労働環境の整備など、いくらでもやれる時間はあったのです。にも拘らずまったく手を拱いてきたツケが今来ているのです。
年金で賄えない部分を生活保護でという制度は、税金を限りなく投入しなければならないという状況を生み出し、必然的に財政を圧迫することになります。老後の生活は基本的には年金によってすべて賄える制度が望ましく(EU先進国ではそうなっている)、現役時代にそれらを担保する制度設計を確立しておくべきなのです。それには、非正規雇用や派遣労働といった社会保険から疎外されている労働環境を、なんとしても改めなければなりません。ところが現在の労働政策の基本は全くの企業寄りとも言える姿勢を取っており、むしろ非正規雇用を奨励するかのような法整備さえ行っています。どのような雇用体系であっても社会保険(年金、健保など)の加入を前提にして、それらを踏まえた賃金体系と雇用者責任を、法によって確立することを実現すべきです。
当面政府、行政として為すべきは、オリンピックとか自衛隊海外派兵とか金のかかることは止めにして、国会議員数も半減、議員歳費も半減、地方議員も同様な措置を取るなど、とにかく財政支出を切り詰めることです。そして労働環境の抜本的な改善を行い、現役時代から老後の年金生活を保障できる制度をつくるべきです。今から始めりゃ出来ないことはないでしょう。将来の展望が無くてなにが「新三本の矢」ですかねえ。

川の流れは絶えずして・・・