音楽

よくクジラは歌を歌うと言いますが、ヒトが歌を楽しむようなものとは少し違う気がします。音を楽しむと書いて♪(音楽を変換するとこの記号が出ます)、文字通りに音の高低や大小、繋がり重なりなどを楽しみます。こういった芸当をするのは生物界でヒトだけでしょう。
子どもの頃に聞いた音楽は、よくは覚えていないのですが、きっとラジオから流れていた歌謡曲アメリカンポップスであったと思います。家に電蓄という機械があって、大きな箱の中にラジオと蓄音機がついており、レコードがかけられるものです。どんなレコードであったのかこれも記憶がないのですが、きっと歌謡曲とか民謡であったのでしょう。私の親たちはクラッシックなど聴かなかったからです。
ジャズを聴き始めたのは高校生になってからで、ブルーベックの“テイク・ファイブ”がきっかけでした。とにかく気どって聴いていました。クラッシック音楽をきちんと聴きはじめたのはかなり後になってからで、きっと20代後半からだったと思います。もちろんビートルズ世代ですからその辺りの洋楽は聴きましたが、とにかく音楽はいつも身近にあったのです。とは言っても吉田秀和小沢征爾のような音楽環境にあった訳ではなく、あくまでも東京の一般庶民底辺部に暮らすレベルでの音楽環境ということでした、誤解のないように申し添えれば。
勤め先が渋谷にあった時に、NHKホールが近くにあったので、N饗の会員となり毎月の定例会を楽しんでいた時期があります。3年ほどの期間であったと思いますが、格安のD席を買い、たしか翌月からは優先的に席を選べるような制度となっていて、D席の中の一番良い席をじっと狙うのです。何か月もかかることもありますが、袖の最前列に狙いをつけて、かなりその席で聴きました。ほぼA席と同等のポジションを確保できるのです。半分ぐらいは寝てしまったこともよくあったのですが、生のオーケストラはやはり音を楽しむには最高です。
ジャズは喫茶店JBLのスピーカーで聞くというパターンが多かったようです。生演奏を初めて聞いたのはアート・ブレーキーの東京公演でした。なんせチケットを気楽に買えるほどの余裕はなかったので、あまり回数をこなしたことはありません。その点レコードは一度買えば何度でも聴けるし、ついでにオーディオにも凝ってしまい、もっぱら家で楽しむ音となったのです。最近でも時々は真空管のアンプで自作のバックロードホーンスピーカーを鳴らします。
きっと私は音そのものが好きなのでしょう。

音が出るものって・・・これ?