沈香も焚かず屁もひらず

私は酒をほとんど飲みません。煙草もずっと以前に止めました。賭け事はせず○○○も縁遠いですから、他人から見れば聖人君子のように見えなくなくもない、何てことはないのですが、まあ“付き合い”という点ではつまらない奴の部類でしょう。
しかし私は“慢性趣味中毒患者”ですから、表題のように“沈香も焚かず・・・”と言う訳にもいかず、意味もないガラクタに埋もれている生活を送っております。つい最近も、かねてより一冊でも良いから欲しいと思っていた「岩波 漱石全集」をアマゾンで手に入れました。全16巻を買った訳ではなく、そのうちの第4巻のみを買ったのです。別に4巻でも何巻でも良かったのですが、千円で買えたのがたまたま第4巻であったということです。「三四郎、それから、門」という比較的ポピュラーな作品が収納されています。オレンジ色の布製の装丁で、1966年(昭和41年)発行の初版の本であろうと思います。活字も大きく見易いし、重いのは少し困りますが、秋の夜長に良く似合う本です。
本も電子化が進みタブレットで読む人も多いこの頃ですが、装丁や活字(オフセットでない)の出来具合などを見ながら読む醍醐味はタブレットでは味わえないものです。“本好き”という部類の中には、本そのものが好きというのもかなり含まれますから、古本も新刊本も早々には消えることはないでしょう。アナログのレコード盤がマニアの間で根強い人気ですが、その理由の一つがジャケットのデザインであると言います。同じように、本も装丁が魅力の一つで、手の込んだ丁寧に造られたものは、それだけで中身まで上質に思えてきます。
しかし、今でもこのように丁寧な本作りが可能なのでしょうか、よく出来てますよ「漱石全集」は。16巻みんな欲しいけど置くところが無いから駄目でしょうねえ。

漱石って 私の仲間を書いたひとね