警戒感

私はどちらかと言うと、と言うよりはかなり騙されやすい性質で、まあ時と場合にもよりますが簡単に他人の言うことを信じます。言ってみれば警戒感に乏しいのです。よく言えば楽天的、正しく言えば自分の都合だけを考える身勝手な性格ですから、他人の思惑、思いまで気が回らないので、自分の都合の良いように何でも考えるのです。したがって騙されやすいという訳です。
では騙されてひどい目にあったかと言うと、これがそうでも無く、今までのところは周囲の努力と援助によって難を逃れています。ひとえにそう言った皆様のお力と偶然のなせる技と感謝していますが、そのうちつけを払う時が来るかもしれないと戦々恐々とした気分で毎日を送っている、ほどの謙虚さは無いので、時折背中に冷や汗を流す程度の日々を過ごしています。そんなだらけ切った気分を少しシャキとさせてくれる本を読みました。「無理」と言う本です。直木賞作家の奥田 英朗が書いたものですが、とにかく出てくる人物が皆ロクでもないからびっくりしてしまいます。小説の登場人物は大体が善人、悪人に分かれていて、もちろん今の主流はそんな簡単な色分けではないのですが、基本はそのようなセオリーとなっていることが多いのです。ところがこの本は皆ロクでもないのです。だからリアリティが有るというか、身につまされるというか、いやあ、これは世の中注意して生きなければと思うことしきりでした。だって思い当たることが多いシチュエーションいっぱい出てくるだもん、これからは警戒心を持って生きようと思うことしきりの今日この頃です。

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