冬の蝶

 散歩の途中にこなら林があり、その落ち葉の上を数十もの小さな蝶が乱舞していました。落ち葉と同じような羽が、朝の木漏れ日を浴びて楽しく(そう見えました)舞う姿は、ちょっとした見ものでした。シジミチョウの仲間だと思いますが、冬枯れの落ち葉に食べ物は無いのではと余計な心配をしながら、しばらくその場でしゃがんで見ていました。風に枯れ葉が舞うように地面を上下して飛ぶ様は、この季節によく似合うと少し感動したのでした。何げない風景ですが貴重な一瞬を見た思いです。
 秋の山でも蝶を見かけることがあります。やはりシジミチョウの仲間のようですが、飛んでいる仲間も少なく、なんとなく物悲しくさえ思えます。まあこちら側の勝手な思い込みですから、蝶は蝶なりに精一杯生きている訳で、物悲しくも寂しくもないのでしょう。以前春に沖縄でオオゴマダラが飛んでいるのを見たことがあります。大きな羽をゆったり羽ばたくその姿はとても優雅でした。朝日に輝く雪の上を蝶が飛んでいる、などという風景も見てみたいものですが、無い物ねだりのようです。
 今年は蝶の姿をいっぱい見た気がします。夏の盛りにはもちろん、春から秋まで気温の高い日が多かったことが原因していたかもしれません。軽やかに飛ぶその姿は、穏やかで楽しそうで、いつまで見ていても飽きませんでした。日本自然保護協会が今年の夏に全国の蝶の分布調査を実施しました。その結果が気になりますが、私もレポートを出そうと思ってカメラを用意して、つい見るほうに気を取られレポートは出さずじまいとなってしまいました。会員としては失格です。

冬の蝶ではありません。