地動説

 先週のこの欄で土星、火星、アンタレスが並んでいると書きましたが、アンタレスは恒星ですが土星、火星などの太陽系惑星はおおむね公転軌道が同一の水平面?にあるはずです。ですから、内惑星は別にして外惑星である火星、木星土星はだいたい並んで見えるように空に配置されています。
 そこでいつも思うのですが、地球は公転軌道に対して約23.4度傾いていて、私のいる日本は北緯35度あたりで、これらをもとに地動説的に夜の星や天の川を見ると、宇宙の広がりがいっそう現実味を増すというか、自分の立ち位置が分かるというか、そのように考えるのです。ところが現実には天動説的に空を見てしまうから、と言うよりはどう見ても地球が動いているというよりは天空が動いているとしか認識できない、地動説が頭では理解できてもストンと腑に落ちないわけで、どうも無理やり分かったことにして、地球が、自分たちが動いているんだと信じ込ませている、そんな思いが拭えません。
 今は夏だから地軸は太陽に向かって傾いているはずです。ですから夜となれば冬の昼と同じ位置に日本はあり、公転の水平面から見ればかなり上?(下とも言えるし、正しくは公転面から離れているということか)から火星や土星を見ていることになる。となれば近くのものは下に、遠くのものは上に見えるわけで、土星が上に見えることが理解できるのです。 その反対で冬になると日本の夜の位置は公転面近くに来ますから、外惑星は横に並ぶように見えるわけです。実際にはそんなに規則正しく横並び、縦並びにはならないのですが、おおむねそんな風に見えることが分かるのですね。理屈としては。
 とは言っても自分が動いている、それもかなりの速さで動いているなどという実感はないのですから、惑星たちが縦に並んだり横に並んだり、出てきたり隠れたりすることが何とも不思議に見えることもまた事実なのです。とくに金星などは西に出たかと思えば東に出たりで理解に苦しみます。地動説がなかなか受け入れられなかったことが十分すぎるほどよく分かるのです。ガリレオの勇気に脱帽します。

それでも地球は回っている