エバー・グリーン

音楽方面で日本風に言うと“懐メロ”などという使われ方もします。エバー・グリーン、いい言葉ですよね。老人には眩しいことでもあります。
なに、繰り言を言おうということではなく、リンダ・ロンシュタットのCDを聴いていたらエバー・グリーンという言葉が浮かんだだけのことです。今頃どうしているんでしょうねえリンダさんは。もう大分御歳を召していられるはずで、往年の艶と張りのある声はCDの中でしか聴けないことと思いますが、ひょっとしてまだステージに立っていたりするなんてこともあるんでしょうか。久しくそのお噂は聞いておりません。
私がリンダ(ファーストネームで呼びあうような関係では、勿論ありません。便宜上そうしただけです)の歌を聴きはじめたのはかなり遅くなってからで、もう大分前になりますが「リンダ・ロンシュタット/ボックスセット」という4枚組CDがきっかけです。もちろんそれまでもリンダのことは知っていましたし、歌も幾つかは聴いていました。でもこのアルバムを買ってからよく聴くようになったのです。何しろ歌が上手い人で、カントリー、バラード、ロック何でもござれのオールマイティ歌手なのです。「ボックスセット」は言ってみればヒットパレードのような構成ですから、私のようにリアルタイムでないファンにとっては都合の良いCDでした。4枚ともそれこそ“耳にタコができる”ほど聴きました。最近になってもたまに聴きますが、少し鼻声の艶のある歌いっぷりにはやはり聴き惚れてしまいます。
映像にしても音声にしても現在では保存技術が素晴らしく向上して、その一瞬を切り取って記録し、まさに“エバー・グリーン”な状態をいつでも楽しむことが出来る、ご本人たちにとってみれば現在との落差やなにやかやで複雑な思いもあるでしょうが、客席の私たちには新鮮な状態をいつでも観たり聴いたりできるから、大変結構な時代と思ったりします。そのうちには3D方式がもっと改良されて、目の前でスターが歌い演技するバーチャルリアリティの世界が実現するでしょう。S・Fが現実となることもそう遠くない予感がします。

しかし 貴女はエバー・グリーンそのものだね