破綻国家の前触れ

国家公務員、地方公務員、私立学校教員などの共済年金が、今年10月に予定されている厚生年金との一元化に合わせて、共済年金も資金運用比率を株式重視に変更するとのことです。中身は従来10パーセントであった株式運用を25パーセントまで引き上げるというもので、これで年金運用も“博打場”での修羅場に参入することになります。
言うまでもなく、株式相場というものはその時々の景気に左右される非常に流動的な側面の強いものですが、近年では株式本来の“投資”ではなくマネーゲーム化していることが常態となっていて、ほとんど“博打”と言ってよいほどの投機買いが主流と言われています。外国ファンドやオイルマネーなどのいわゆる“外人買い”を中心とした短期投資などにより、欧米株式市場が続落するなかでも日本株式は上昇をし続けています。これは、政府日銀が仕掛けた円安誘導や厚生年金などの公的資金をより多く株に投入するという、政策的株価操作とも言える状況の中で生まれたものであり、1000兆円を超える国の借金や日本経済の現状を反映したものとは言えない、バブルの様相であると思われるのです。
そして今度は共済組合の年金運用まで株式参入となれば、投機買いの格好の餌食となることは間違いなく、いずれ外国資金の引き揚げに伴う株価暴落が起きた時にどのようなリスクが年金運用に降りかかるのか、背筋の凍る思いがします。年金運用の破綻でも起きれば国内経済は大混乱となることは必至です。なぜなら団塊世代を中心とした年金受給者層を直撃するであろうその影響は、そのままこの国の経済を揺るがし兼ねない状況を生み出し、ひいては日本経済そのもの、あるいは国家財政そのものの破綻を引き起こすでしょう。
年金資金を“有効活用”などと言って投機的となっている株式市場に参入させた理由の一つは、国の年金政策の失敗にあります。少子化や高齢化の予測があるにもかかわらず、政府も国の担当機関も現行制度をそのまま放置してきました。高度経済成長期の予測や人口の年齢構成比などを満足に見直しもせずに、ロクでもない余暇施設や事業に年金資金を流用してきたズサンな運用とその尻拭いが元凶となっています。それらを覆い隠すための方便とも言うべきものが株式参入です。言ってみれば投資に失敗したグウタラが一発逆転を狙い博打場に行く、そんな状況であるのです。
勘弁してほしいよお、と団塊の世代の私は叫ぶのですが、その声はむなしく夜空と騒音にかき消されていくようなのです。

あの人に頼むか・・・