市場原理と投機

アベノミクス”とか“黒田マジック”とかいう新手の経済政策が、早くも賞味期限切れもしくは化けの皮のはがれる事態となってきたようです。そりゃそうで、1000兆円にもなろうという国の借金を、小手先の金融策や実態の伴わない風船だけ上げてどうにか出来るはずもなく、いずれどこかでツケを払うことになるのは自明のシナリオと、素人の私だってわかります。
その素人の私が考えるに、規制緩和と市場原理を優先させる今の政権の経済政策スタッフ達が、いわゆる“市場原理”が今も生きているとの前提でことを進めているとするなら、かなりやばい方向に持って行かれはしないかと危惧するのです。なぜそんなふうに考えるかと言えば、需要と供給のバランスで市場価格が決まるという古典的“市場原理”は、すでに実体として無くなっているのではと思えるからです。価格競争など言われる過度の安売りや生産拠点の海外移転などによるコスト圧縮、そして“ファンド筋”と呼ばれる投機マネーの暗躍などで、市場の価格は実体経済とかけ離れたところを駆け巡っているように見えます。先物取引や為替のように幽霊みたいな対象に大量の資金がつぎ込まれたり、価格を操作するためにだけの売買があったりで、とても“市場原理”が正常に作用しているとは思えないのです。そんな蜃気楼のようなものを頼りに経済のかじ取りをするなんて、無謀というか夢想というか、まあ素人の考えですからあてにならないでしょうが、玄人の方々はもう少し素人に納得できる手を考えて欲しいですよね。うがった見方をすれば、世界の投機筋の良い食い物にされているようにも思えます、とくに証券や為替市場は。
それと“成長戦略”ですか、あれってもう先進国では幻想の類ではないでしょうか。小泉政権の焼き直しのような骨太何とかと言ってますが、生産拠点を国内に戻して雇用の場を広げなければ、先進国の未来はないでしょう。だから成長ではなく“維持”が眼目と思うのですが、まあこれも素人の与太ですけどね。
 

先行きは暗い・・・