管理国家

マイナンバー制度」というのが来年の1月から始まります。今年の10月には各人の番号が一方的に決められて通知されるそうです。健康保険や税金など個人情報を一括管理するシステムで、その昔には「国民総背番号制」などと言う名称で呼ばれていました。徴兵制度にも利用できるとのメリットに、一部の方々は大分乗り気であったのを記憶しています。昨年から実施された特定機密保護法、集団自衛権の行使容認、現在論議の最中である安保法制の問題など、どう考えても私たちにとって不利益を及ぼすような、そんな政策が目白押しに実施されていくのを、手を拱いているだけの状況になっているようです。
この「マイナンバー制度」と似たもので、「住基ネット」という制度があります。私も「住基カード」を作りました。住民票や印鑑証明などがこのカードだけで発行できるというので作ったのです。しかし、利用したのは2回程度でほとんどお世話になることはありません。住基ネットの利用率は5パーセントほどと言いますから、さもあらんと思うのですが、400億円もかけ毎年維持に30億円もかかると言う制度の費用対効果を、誰かきちんと検証しているのでしょうか。「マイナンバー制度」がこの二の舞となる危惧は無いのでしょうか。きっとシステム費用は住基ネットの数倍あるいはそれ以上かかるはずです。
また「マイナンバー制度」は個人の預金情報にまで絡んでくるようですから、金融機関も対応を迫られることとなるのです。税金や各種未納金の収納に効果を発揮するということらしいのですが、他人の懐の中まで勝手に覗かれる気味の悪さには、ある種の戦慄さえ覚えます。税金や保険料などの徴収は、あくまで自発によるべき性格のものであり、その社会の構成員たる責任と誇りに立脚したところに意味があるのです。年貢や上納金とは根本的に異なるのです。給与、年金、保険、医療、税金、犯罪・・・、国民を一元的に管理することは為政者にとって魅力あるシステムでしょう。私たちは何かとんでもない化け物を身近に置くことになったのかも知れません。

不気味よね