原油安

このところ原油の値下がりが続き一時期の半額以下になっていて、まだ底が見えない状況のようです。おかげで近所のガソリンスタンドではレギュラー1リットル120円台となり、本当はもっと下がってもよいと思うのですが、ヤレヤレと一息つけるようになりました。なんせ150円を超えていたのですからもう㋖印だったのです。
当然のこととして、石油燃料を大量に使う物流や発電所などではコストの抑制になる訳で、電力料金をはじめとして様々な日常品のコストにも、価格抑制あるいは値下げの効果が期待できます。そこで苦虫を噛んでいるのは政府、日銀のようなのです。
政府、日銀は政策的にインフレと円安を推進することで、輸出中心の景気浮揚とそれに伴う税収増を目論み、名目賃上げと消費税増税とで更なる税の増収を計り、国の財政の立て直しを目指そうとしています。また、日本の財政の危機的状況は世界の経済にとっても大きな脅威となっていて、仮に経済破綻でもしようものなら世界的な恐慌が起きてしまうだろうと言われています。アメリカをはじめとする先進国の経済にとっても、日本の財政改善は緊急の課題とも言えるのです。そこで、てっとり早く財政の改善を計るために、インフレによる借金の目減りを目論む安倍内閣、黒田日銀にとって、原油安はまさに自分たちの政策を根幹から揺るがす大事であり、想定外の事態であるとの認識を持っていると思われるのです。
しかし私たちの生活にとっては、原油価格の低下が物価抑制あるいは値下げの要因となり、皮肉なことに“アベノミクス”よりも恩恵が出ているのです。まさに政府、日銀の思いとは裏腹の関係にあると言えるでしょう。“アベノミクス”などと自らの名前を冠した駄洒落政策に踊らされる経済運営が、旧態依然とした時代錯誤の成長戦略なる代物であることは、すでに各方面から指摘されているところです。このまま原油安が長引くことでアメリカのシェールオイルやロシア経済への影響が深刻化すれば、世界経済の停滞が長期化することにもなり、安倍政権が頼みの綱とする輸出産業も振るわず、大盤振る舞いで実施した公共事業も経済活性化の起爆材とはならずに、税収は伸びず借金だけが膨らむという最悪の結果だけが残ることになりかねません。
ひょっとすると現在の原油安は「OPEC」の仕組んだ罠?なんて話もあるくらいですから、馬鹿の一つ覚えの“成長戦略”などはいい加減にあきらめて、そろそろ夢から覚めてもよい時ですよ、ねえ。

夢から覚めたよ