冬の蝶

今年も枯葉が積もる上を小さな蝶が舞う季節となりました。シジミチョウの仲間と思うのですが名前が分かりません。枯葉と同じような色をした地味な蝶で、羽を広げても3センチ余りの大きさしかありません。けれど数は多く居て、陽だまりの落ち葉の上を群舞する様子は、まさに冬の妖精と言えるほどです。去年から図鑑やネットなどで見てはいるのですが名前が割り出せません。
蝶と言えば花と連想するように、春から夏にかけてのものと思いがちですが、意外と成虫のまま越冬する種もあるらしく、俳句の季語ともなっているようです。秋の山の上で時折見かける小さな蝶なども、冬の蝶と同じく何を食べているのか要らぬ心配をしてしまいますが、Ⅰ羽(正しくは1頭と数えるそうです)だけで飛んでいる姿を見かけると、“孤高”という言葉さえ浮かんでしまうほどで、見かけの弱弱しさだけでない野生のたくましさを感じます。やはりヒトぐらいだらしのない種はこの星の上では居ないのでしょう。
話はがらりと変わりますが、財務大臣がまた御放言のようで、この円安で利益の出せない経営者は無能、といったようなご発言をされたと、それも2度にわたってされたと報道にありました。前にも申しましたように、“円安”は“円”の価値が下がることであり、国民の資産が目減りすることなのです。輸出産業が円安によって利益が出ることは短期的には有利な点ですが、長期的に見れば原材料費が膨らみますから、先細りの状況がやってきます。また、“為替”に依存した輸出というものは他力本願であり、本来的な輸出競争力を低下させるものです。財務大臣たる方がそんなイロハを知らないはずはなく、あえてそのようなことを口にするのは、自分たちの経済政策の失敗を他に転嫁するためと思わざるを得ません。
このところの急激な円安は、物価の押し上げや輸入材料の高騰ばかりに作用して、そのマイナス面が強調されています。一時期の半値近くにまで下落した原油価格(先物)が、国内の石油価格の下降にほとんど作用しない原因の一つは円安にあり、私たちは国の政策によってその恩恵に与れないのです。このこと一つとっても円安がいかに生活を圧迫しているか分かるはずなのですが、どうもあの人は・・・。

しぶい顔