ダークエネルギー

また分からない話の部類ですが、正月の時間つぶしに読んだ本で「宇宙が始まる前には何があったのか」(ローレンス・クラウス著)という、題名からしてすでに訳の分からない内容の本のことです。実はこの本、すでに一度読んでいるのですがまるで中身が分からず、暮れに図書館から雑誌ニュートンの別冊「ダークマターダークエネルギー」という解説本のようなものを借りてきて、この正月に再挑戦したのでした。結局のところ大した進展は見られず、相変わらずよくは理解できなかったのです。なにしろつい10年ほど前までは“ニュートリノ”というものが検出できれば宇宙は解明できるみたいなことを、多くの科学者は言っていた訳で、それが今ではダークマターダークエネルギーで宇宙は満たされているらしい、などと変わって来ています。おまけにその実態は何も分からず見ることも出来ないという、何じゃそれは・・・とでも言いたくなる話なのです。けれども、今までの観測やら推敲の積み重ねの結果、どうやら宇宙はダークエネルギーとやらで膨張を続けているらしく、このままいくと2兆年先には天体の観測そのものが出来ない、つまりみんな遠くに行ってしまい見えなくなるという時代がやってくる、辺りまでは言えるらしいのです。まあ2兆年先がどれほど先なのか見当もつきませんが、私が居ないことだけは確かなようです。
もちろんのこと、この本の9割以上は以前理解できていないという現実は、ちょうど宇宙の96%は不明のエネルギーに満たされているという現実に対応しているという、妙な親近感を持ってしまう程度のものですから、1割程度の理解もあまり当てになるものではないのです。結論から言ってしまえば、私が生きている時間内にはこの宇宙は全く変化しないと言ってよい訳で、ダークエネルギーが何であれ、量子がどれだけ揺らごうが“それでも地球は回っている”だけなのです。じゃあ、なんでそんな本をヒトは読むのか、もしくは私は読むのか、という疑問が浮かぶのですが、おそらくヒトという種は、何にでも何か理由をつけて納得しないと安心できない、という不安神経症に憑りつかれているからであると思われます。
とは言え、ヒトはこの宇宙という不可思議な入れ物に大枚をつぎ込み、あまつさえ人類最高峰の頭脳さえ投入して、それでも足りず更なる深みに踏み入れようと画策するのです。挙句の果てが“96パーセント以上は不明”では身も蓋もあったものではないと言えるのですが、同族殺しに血道を上げて破壊を繰り返すよりはましなことでもあるし、完全に非生産的な生産物である兵器を造り、さらにそれらを使う愚を考えればずっとましなことであると思えるのです。

だーくえねるぎー