量子その3

 分からない、駄目だこりゃと決めてしまうと、しばらくは見向きもしない私ですが、今回はもう少しやってみるかと何冊目かの本をめくっています。こうやって書いたり話したりすると物事が整理されて、今まで曖昧であったところが突然見通しのきくようなこともあるので、と時間も暇もたっぷりある気楽さを武器に愉しんでいます。
 そもそも論になりますが、「量子」は「作用」という物理量の“最小単位”に絡んだ呼称であり、「作用」は「長さ」×「運動量」で表されます。「運動量」は「質量」×「速度」ですから、量子論というのは素粒子や電子という超ミクロ世界の動きや仕組みを理解するためのもの、ということとなります。ところが、この超ミクロ世界は私達のマクロ世界と別の法則で活動しているらしく、けれどそのミクロから私達のマクロが出来上がっているので、同じ一つの世界になぜ異なる法則があるのかという疑問が私達を不安にさせます。さらに、「トンネル効果」「波動と粒子の二重性」「並行世界」など従来の法則では考えられないことが、実験の結果として起きてしまう事態について、辻褄を合わせることが出来ず混乱してしまうのです。また、これらを説明するための言語として数式を多用することも理解を遠ざける原因となっています。数式は論理構造を表現しますから矛盾なく回答が出れば、現実を確認したり見たり出来なくとも結果を予測出来ます。この辺りは宇宙物理学も同様で、論理矛盾のない推論をいくつも使って宇宙の構造を解説しようとします。たしかに“宇宙は特異点から発生して現在も膨張し続けている”と言われても確かめようはないけれど、観測されるモロモロの事象から説明するには妥当性のある見解と考えるべきでしょう。結局のところ、量子世界もそのように考えるしかないのかも知れません。
 専門家でも研究者でもない私が量子力学を理解したところであまり意味があるとも思えず、というよりは理解できるとも思えないので、アウトラインまで到達すれば“上等よ”となります。ですから量子世界で起きる個々の事象については、“なるほど”と分かっても分からなくても了解するしかありません。それでも「量子コンピューター」の仕組みと現行のコンピューターの仕組みの違いを読んでみて、少しだけ量子世界が近づいたかもと思います。現行のものは100%の計算が出来ないと回答出せない(例えば素因数分解など)なのに対して、量子のそれは“確率的(不確定性?)”に近いものでまず回答し、それでだめならその次の奴を持ってくるというやり方をとるらしいのです。これでやると、計算不能まで演算する(現行)よりはるかに速い速度で回答を求められるようです。ようするに、大雑把にやって当たりをつけその中から回答を選ぶ方式のほうが効率的という訳です。量子世界ではそんな融通が効くということらしいのです。考えてみるとヒトの脳はそれを普通にやっている訳で、「ゆらぎ」とか「重なり」「もつれ」など量子世界の現象も案外身近なところにモデルがあるかもと思ったりします(違うかなあ・・・)。
    
    眠くなる話ね