どさくさまぎれの自然破壊

東北の復興の目玉と言われる海岸線の防潮堤が、景観や自然条件を無視した計画の下に押し進められようとしています。砂浜を全く埋めてしまう防潮堤や、まるで刑務所を連想させるような“囲い込み”防潮壁など、土建屋を喜ばせるだけの計画が目白押しと言うのです。すでに復興計画の名で被災地の土木事業は空前の景気のようですが、今後長期にわたって公共投資がつぎ込まれるであろう防潮堤等の工事計画は、費用対効果とともに自然との共生に配慮したものであることが求められるはずです。
もともと公共事業に頼ってきた過疎地域の多い被災地は、地域経済の活性化のための起爆剤とばかりに復興事業を利用しているようにも思えます。今後50年100年先を見据えた地域の展望を、行政と住民がじっくり議論して創り上げることが大切なのではないでしょうか。高齢化と過疎をかかえた地域に、巨大なコンクリートの構造物だけがのしかかる町などは、誰も住もうとは考えないでしょう。莫大な税金をつぎ込んで廃墟を創るに等しい計画と思えます。
復興計画は地域住民が主体的に参加すること、独自の計画案を持ち寄って行政に働きかけることが理想と言えますが、現実には難しく行政主体の計画がまかり通ることが普通です。だとすれば、その地域の復興に責任を持つ行政として町や市の担当者は、いまこそ高い理想と深い教養を武器にして、長期的展望と住民サイドに立った計画の立案と実行を進めるべく奮闘すべきです。公務員の本来の職責にのっとって任務を遂行してほしいと思うのです。少なくとも、その場限りの泥縄施策や未来に禍根を残すような自然破壊の公共事業には断固反対すべきであると、タックス・ペイヤーおよび元同業者は思うのです。
 

頑張ってね