自己管理能力の欠如 その1

中央道笹子トンネル事故で全国のトンネルや橋梁の管理状態が問題となっていますが、何と事故後のトンネル調査を全国の自治体の半数以上は実施していないという報道がありました。理由は人員、人材不足で手が回らないということらしいのですが、施設の建設後に一度も点検したことがないという自治体も多くあり、要するに「作りっぱなし」の体質が蔓延していて、管理することへの意識が欠如していると言える状態が当たり前となっているようなのです。こういった傾向は地方の、それも過疎地域の自治体に多く見られると言います。
“オットロシイ”と思う前に“ああ、やっぱり”思う方がやや勝りました。そうなんですよねえ、私の知る限りでひどく偏っているとは思いますが、自治体は小さくなればなるほど自己管理能力が低くなる傾向があるように感じられます。一つには、小さい自治体はみんなの顔見知りの関係が当たり前で、職員同士も住民同士も親兄弟まで知り合いというのも珍しくないようなのです。そこでは波風立てずに穏やかにやることが一番というムードが先行します。したがって、持たれあいというか、なかなか独立独歩とはいかない面があるようです。次に村や町の主な産業は、農業のほかには自治体が発注する公共事業という構図があり、公共事業は様々な制約と“ひも付き”で行われることが多いですから、独自性やら創造性には縁遠いものとなりやすいのでしょう。また、公共事業の分配が行政の主な仕事といった側面もあり、村や町、もしくは市の職員は現場へ出て仕事をするのではなく、事業者(住民)に委託して書類上の執行管理のみで終わってしまうケースがほとんどではないでしょうか。当然のこととして、現場仕事のノウハウや知見を広める機会が少なく、委託した工事や事業の設計図や図面さえ保管されていない事態が生じる羽目になっています。            つづく
 
 今週は大丈夫なの?