木 −つづき

理科の授業で習ったように、樹木や草花は地球上の炭素を取り込み酸素を排出します。ヒトをはじめとする哺乳類も食料の主な組成は炭素が中心です。この点は植物も動物も共通しています。ただ動物は酸素を排出せずにゲップその他などで炭素を再排出してしまうから温暖化防止には役立たずです。赤道周辺に広がる熱帯雨林やシベリヤ、アラスカの針葉樹林は、地球の主要な酸素供給減ですし、温暖化防止の砦とも言えます。しかし、これも“ヒトにとって”と言う但し書き付きで、植物にとっての温暖化は決して不利な環境ではないのです。ともあれ樹木の集合体である森は、それ自体が一つの生態系として位置づけられるほど多様性に満ちています。とくに熱帯雨林は、森本来の機能が地球上で最も活発になっている場所であり、未発見の植物や動物、様々な新薬の材料の宝庫とも言われています。余談ですが、私は足が5本以上ある動物が苦手で、おまけに湿気にも弱く、熱帯雨林がいかに素晴らしい所でも出かけていく気にはなりません。研究者が虫や暑さをものともせずに、ジャングルを徘徊する様をTVなどで見るにつけ、“えらいこっちゃあ”と感嘆するばかりです。
“森林破壊”が言われて久しくなりますが、私たちの国がその一翼を担っていることもよく知られています。高い緑被率と樹木に対する深い思いを持つこの国の矛盾した一面で、安易な経済原理を優先させた結果、国内の森林荒廃と言うツケを払う羽目になっています。樹木に限らず自然全般に言えることですが、経済効率だけでは推し量れない分野と言えるのでしょう。
木の持つ魅力は様々で、ここであえて挙げることはしませんが、新緑や紅葉など眺めて楽しむだけでも、私たちにとって欠くことのできない存在と言えます。これからも樹木のもつ有用性はますます高まっていくと思われます。おそらくヒトにとって樹木は必要欠くことの出来ないパートナーであるのです。残念ながら、樹木にとってヒトは必ずしもそうでないかも知れないのですが・・・。                おわり
 
 姿勢を正して・・・