キグルイ

放送倫理規定に抵触するような言葉ですが、「木狂い」と書きます。今風に言えば“木フェチ”ですかねえ。木に特別の思い入れをする人たちのことで、広辞苑にもウィキにも載っていませんが、著名な方では宮崎 駿監督あたりがその部類と言われております。監督の作品にはかならず「木」がそれも巨木が登場し、物語の中で重要な位置を占めています。世間にもその手の人は意外と居るようで、本屋などには“巨木案内”のようなガイドブックが売られています。
かく言う私もその一人で、何百年も経た木を前にすると敬虔な気持ちというか、触りたくなるというか、抱きつきたくなるというか、“何かお前勘違いしてない“と思われても仕方ない感情に襲われるのです。まあ実際に頬ずりをしようと顔を近づけたら、ゲジゲジが居てのけぞった経験もありますが、あのどっしりとした迫力には圧倒されます。
アメリカの開拓時代の写真で、巨大な木の切り口に何人もの樵が乗っているものを見たことがあります。ヨーロッパ人が荒らしまわる前のあの大陸では、樹齢が千年を超える巨木がごろごろ有ったようで、有名なレッドウッドやジャイアント・セコイアがうじゃうじゃ屹立していたのでしょう。日本にも縄文杉で有名な屋久杉があり、樹齢7千年(実際には4千年を遡らないらしい?)を超えると言われていますが、両方とも見たことはありません。
山の中で人知れずに立っている巨木に出会ったりすると、思わず手を合わせたくなるほどに嬉しくなります。枝を四方にめぐらして葉を無数につけたその姿は神々しくさえ思えます。やはり私は木狂いのようです。

 
 なに? 何が狂ってるって・・