生命の仕組み その5

 植物も細胞によって作られていますが、動物と違って神経細胞や筋肉細胞と言ったものは備えていません。当然のこととして神経細胞が進化したと言われる脳といった機関もありません。けれど数千年生き続けるものや地上最大の生命体と言われる巨木を含む植物は、食料を自給できる細胞を持ち地球上の殆どの場所にその足跡を残し、なお多くの種を繁栄させていることを考えると、地球の環境に最も順応した生命体とも言えるかもしれません。あちこちうろうろしない、異性を求めてあれこれ細工を弄しない、自分の食べ物は自分で何とかする(食虫植物なんてのも有りますが、あれは鬼っ子な訳で)、究極のスローライフを実践するそのライフスタイルなど、動物をはるかに凌駕するものを私は感じます。次に生れてくるときにはぜひとも樹木になってのんびり暮らしたいと切に思う次第です。
 ヒトを除いて他の動物は植物と上手く共生しているように見受けられます。しかし動物は食物を他に依存するしかないので、結果的に植物に従属することで生活圏を形作ります。仮に肉食系であっても草食系の動物がいる場所が生活圏となります。昆虫や細菌、微生物に至るまで植物との関連を断ち切ることは出来ません。植物はそういった動物たちを上手く利用して生活圏を広げたり、自分たちの栄養分を確保したりしているのです。樹木だけでなく草や灌木に至るまでその手法は同様ですが、やはり寿命の長い樹木は動物を効果的に利用している生命体と言えるでしょう。杉やヒノキなどの針葉樹、ブナやこならなどの落葉樹、樫や椿などの照葉樹と数多くの種が栄える樹木ですが、これらの多くは動物より寿命が長く100年200年はざらに生き続けます。この寿命の長さだけを考えても、樹木は地球上の生命体の中で最も成功した種であり、これからも絶えることなく発展を続ける種であることは間違いないようです。
 メタセコイアは生きている化石と言われていますが、中国でその種が発見されてから、今では世界中どこででも見られるほどのポピュラーな樹木となっています。同じ生きている化石と言われるシーラカンスが、アフリカやインドネシア辺りの深海で細々と生きていることを思うと、その生命力、繁殖力の強さに植物の優位性を改めて思い知らされます。

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