「ソロモンの偽証」は面白かった

1週間かかりました、読み終えるまでに。読みッパならもっと早く終わったのですが、味わいながら読みました。宮部さんの小説はもうかなり読んでいるのですが、これほど長いものは初めてですし、20年にわたって書いていたという話でしたので、作者への敬意も込めて読みました。
推理小説のジャンルなので内容については触れませんが、作者の人を見る目の確かさというか優しさを感じた作品です。ご本人も言っているように“作り話”なので突っ込みどころはいろいろあります。けれど、700頁を超えるハードカバー3冊の読みごたえはかなりのものです。突っ込みどころを踏まえても余りある充足感でした。
しかし、推理小説というのは粗筋を明かせないので何とも歯がゆいですね。“こういうところが・・・”なんて言えないもんね、ネタバレするから。
宮部さんの作品には少年や少女が主人公で登場するケースが多いのです。この作品も中学生が主人公ですから、言葉や感性に気を使うことが多いのではと、読んでいて思いました。なんせ書いている本人は“おばさん”であるのだし、今風(と言っても20年前の設定ですが)の中学生なんかにどの程度まで接近できるのか、やや不安ではありました。しかし読者も作者と近い年齢が多い?のではと思ったりするので、案外とハードルは低いのかも知れません。
結局私の心配は当たらず、中学生の主人公は違和感なく無事にその仕事を全うしていました。作者の力量がそんなハードルを物ともせずに超えていったようです。
 
 ソロモンの行列