メンテナンス

中央道の笹子トンネルで起きた天井崩落にはびっくりしました。あそこはよく通るし、事故が起きた時間は、いつも東京に帰ってくるときに通過する時間帯なのです。先々週もその時間帯に通過しました。おっかないですねえ。
事故原因についてはすでにいろいろ取りざたされているようですが、施設そのものの老朽化、つり天井構造の強度不足、などと同時に点検ミスが挙げられています。なんで1トンものコンコリート板を天井に使う必要があったのか、その辺りは理解に苦しむところですが、耐力壁としての機能があったとすれば、つり天井という構造が適切だったのかを含めて調査してほしいと思います。
また、点検ミスと同時にメンテ不足も挙げられています。今回のトンネルに限らず、この国の土木施設のかなりの部分が、老朽化とともにメンテ不足による事故の危険性が指摘されています。橋やトンネルなどの道路施設は、その多くが造られた当時のままさしたるメンテが行われずに現在に至っています。定期点検はされていると言いますが、今回の事故を思うと心配になります。公共事業費の削減は新規事業より保守点検費にしわ寄せが多いとも言われ、箱モノ行政の弱点である“造りっぱなし”は、この分野でも幅を利かしているようです。
私たちの国は伝統的に“手入れ”を大事にする文化を持っていました。道具にしても建築物にしても、早め早めの手入れをすることで本体の寿命を延ばしてきたのです。これは素材を無駄にしない、使えるものはとことん使うという文化でした。“もったいない”という言葉はこれらを表現するものです。けれどもいつの頃よりか“大量生産大量消費”が顔を利かせ、修理するより新しくした方が安い、簡単となってしまいました。だからといってメンテをさぼるのはちょっとヤバイ気がします。せめて公共物は伝統を守って“手入れ”と長期間に耐える構造物を造るべきですよね。
 
 これも作りっぱじゃない