第3次世界大戦は・・・

「冷戦構造」といった時代の話で、“第3次世界大戦の恐怖”をマスコミなどが盛んに取り上げていた時期がありました。当時はアメリカを中心とする資本主義(自由主義と呼称していた)陣営と、ソ連を中心とする社会主義陣営の対立を原因とする様々な軋轢が世界中で起こっていて、“キューバ危機”と言われた時などはまさに一触即発の危険さえあったようです。その後もベトナム戦争をはじめとする両陣営の代理戦争は各地で続き、その度ごとに“第3次世界大戦”が取り沙汰されました。
ソ連が崩壊しロシアとなり、世界の社会主義国は中国など3か国(北朝鮮社会主義とは別物でしょう)のみとなって、その中国なども経済的には資本主義を採用しているという、言ってみれば経済システムは世界中が資本主義のロジックで動いている世の中になってしまったのです。アメリカ、ドイツ、日本など先進資本主義国は、安い労働力を求めてアジアやアフリカ、中南米に群がり、そこで作られた製品を自国も含めた世界中に売ることで莫大な利潤を上げています。そんな中で社会主義を標榜する中国は、先進資本主義国が今では出来ないあからさまな搾取を、自国の安い労働力に対して行うという離れ業をもって急成長し、経済大国としての存在力を強めています。今や世界は全資本と全労働の対立というマルクスが規定した世界に入りこもうとしている訳で、社会主義崩壊やマルクスレーニンの否定の後での「資本論」世界への“紛れ込み”という妙なこととなっているのです。
列強国間による帝国主義戦争(カビの生えた用語ですが)の時代は終焉したとも言えます。資本が無国籍化して世界中に資産を配置するようになると、国と国が戦争どころか外交関係を断つことさえ難しいでしょう。なんせ巨大資本は世界中に莫大な投資をして工場を作ったり店舗を開いたりしているから、それらを放棄することが自国の経済を破綻させかねないのです。世界大戦の危機は限りなく少なくなったのでしょう。しかし世界のあちこちでは依然として紛争は絶えず、武器商人たちの活躍の場は保証されています。米英仏露中という軍事列強は、武器の更新による出される大量の中古品の処理に、これらの紛争を多いに利用していると思われます。こうして第3次世界大戦という危惧は無くなったようですが、宗教や民族間の違いを理由にした小競り合いを意図的に起こすことで、相変わらず代理戦争は続けられています。
異なる宗教や民族の対立といった構図は、列強国間の争いに代わるものとして今後も続くでしょうし、全資本対全労働という構図もさらに顕在化するのではと考えています。いつまで経ってもヒトは争い事から逃れられないようです。“武器よさらば”なんて題名の本も有りましたよね、出来ない相談をしたがるのも私たちの癖ですから。
 
 私の武器は美貌ね