貿易関税と為替固定化

提案シリーズ第2弾
まあ“第2弾”などと意気込むほどのものでもないのです。なぜならこの話は前にもここで少し触れていて、言ってみれば繰り返しのような部分もある訳ですが、もう一度自分なりに整理してみたいと思い取り上げました。
 今日のテーマと真逆とも言える方向に「国の廃止」あるいは「地球連邦」などと言う発想があります。「EU」などはそういった発想に基づいたものと言えるでしょう。私も将来的には国などと言う組織は消えてなくなればよいと思っています。しかし数千年にわたり続いている制度を、そう簡単にチャラには出来そうもないので、当面は国同士出来るだけ干渉しないで済むように、特に経済面での干渉、介入を少なくした国際ルールを確立したらどうかと考えているのです。要するに、自由貿易ではなく貿易関税と為替の固定化で、各々の国の発達段階に即した経済活動を行っていくというものです。
 しかしすでに世界はEUをはじめとしてFTAやTPPとか、なにやらアルファベットが羅列する自由貿易に関する機構、組織が大流行で、とても関税や為替の固定化などの入り込む隙間はなさそうです。けれどもこれらの流れは先進国資本主義の行きづまりと無国籍化によって始まったものであり、各国間の経済格差を利用してより高い利潤を追求する巨大資本の要請に沿うものであるのです。開発途上国の事情やそこで暮らす人々への恩恵を考えてのことではなさそうなのです。事実このFTAやTPPによって、開発途上と言われる国々の中では、格差の拡大が進行して一部の富裕層には利益をもたらす反面、貧困層は一向に豊かにはなりません。むしろ過酷な労働と経済格差が人々を一層苦しめているかのようにも思えます。
 各々の国の発達を無視した形で経済や文化あるいは軍事が介入してくると、既存のものは破壊されます。資本主義はそういった流れの中で発展してきたのです。ですから今の流れは当然の帰結とも言えます。しかしその行き着くところは経済格差と差別の拡大という船着き場のような気がしてならないのです。“エントロピーは増大する”というのは物理の法則ですが、いずれ平準化する、平衡状態に収まるとは言えないのが資本主義の利潤追求の原則であろうと思います。平衡状態では利潤を生みだせないでしょうから、格差は無ければならない必要なファクターなのです。そういった資本主義の基本的流れに“一時的”なブレーキをかける、関税と為替の固定化はそんな作用にかなり有効なのではと思っているのです。

なに?提案シリーズって