報道

 新聞にしてもテレビにしても報道=事実をありのままに伝えることは、簡単なようで至難の業といえることのようです。とくにテレビなどは報道番組が“ショー化”してしまって久しいですし、近頃ではバラエテー番組となんら変わらない内容となったものもあります。頼みの新聞も事実関係を正確に伝える点で今一つもの足りず、生の声を聞くにはネットかツウィッターによることが多くなっています。しかしこの新参のメディアは、“生もの”ゆえのリスクもあり、吟味しながら取り入れないと消化不良を起すこともあるので、一面厄介でもあるのです。
 一昨日(19日)に東京の明治公園で“さようなら原発”集会がありました。参加者は6万人(朝日新聞)に及んだと言います。例によってマスコミはサラッと伝えただけでした。NHKは夜のニュース(7時)ではまったく無視しました。TBSはやや詳しく伝えていました(他の局は見ていないので分かりません)。世界中が注目しているこの国の首都で6万もの人が集まり、原発の存続に反対する集会が開かれたのです。これは大ニュースとして報道されるに十分な要素があると思ったのは私だけだったのでしょうか。私は現地に参加した訳ではないので詳しく知りませんが、一部の報道で見る限り明治公園は久々に満員でした。あそこは満員となると約5万人が入るとされています。“参加者6万人”は妥当な数字であると思います。アイドルコンサートやロックコンサート以外でこの規模の集会は、このところ聞いたことがありません。メーデーでさえ数万人がやっとなのです。参加者の規模だけでも大ニュースの資格十分なのですが、どうもマスコミ受けはしなかったようです。やはりお笑いの一つも入れないと報道としての価値がないのかもしれません。
 もう大分昔の話になりますが、こういった集会参加者の規模を、主催者側と警視庁が別々に発表していた時期がありました。当初マスコミは警視庁発表の数字を掲載していましたし、集会の記事などもほんの申し訳程度の扱いでした。その内に集会参加者の数があまりにかい離していることへの批判が集まり、両者の発表をともに掲載するようになったのです。しかし記事そのものは相変わらずの扱いでした。あの当時からマスコミは全然変わっていないなと思ったのでした。

真実を見つめる・・・、なんてね。