危機感と自由

先週の自民党若手議員集会は、報道の自由を否定するかのような言いたい放題の発言が飛び交い、語るに落ちた無見識ぶりを露呈した出来事でしたが、国会での安倍首相のこの事に関する発言はさらに無見識なものでした。たまたまTV中継を観ていたのですが、民主党の質問者がこの件に関して質問すると、首相は「そういった発言は確認していないし、私は関知してない・・・」といった意味の答弁を繰り返し、事の重大さに気がつかないばかりか、いろんな意見があることは当然と開き直る始末でした。さすがに周囲からの入れ智慧があったのか、その後若干の方向修正はあったようですが、基本的には党の責任者としての反省の弁は聞かれませんでした。
危機感を煽ることで基本的人権や自由を制限する手法は、政治の世界では度々登場する常套手段ですが、今回の自民党若手議員集会(勉強会という名称らしいですが)は、まさに生きた教材として私たちに“勉強”の機会を与えてくれたものでした。奢りからくるものなのか無知からくるものなのか、あるいは本音、主流派へのごますり、いろいろ言われていますが、95日間という戦後最長の延長を決めた「安保法制国会」を象徴する事件であったことは間違いないようです。与党自民・公明の幹部は例によって火消しに躍起となって駆けまわっています。しかし“覆水盆に返らず”の例え通りに一度表明されたことは忘れません。また、この集会に講師と招かれた百田とかいう小説家が、沖縄のマスコミは偏向だから“潰してしまえ”などと暴言するに至っては、“あんた何様”としか言いようのない呆れぶりで、とても「冗談のつもりだった」では通らない発言です。こんな“偏向的人物”をつい最近までNHKの経営委員の椅子に座らせていた安倍首相は、「私は関知しない」では済まされないことを自覚するべきです。

済まされません。