原作と映画化

 映画は普通2時間程度の長さですから、小説などの映画化では原作をかなり端折ることとなります。松本 清張さんが生前に自作の映像化に際して、映像化された作品は別物なのでどのようにされても仕方ない、と言うようなことを述べておられました。清張作品は数多く映画化、TVドラマ化されていますから、いちいち原作に忠実になどと注文つけている時間など無かったのかも知れません。また、映像化された作品にあまり興味を示さなかったようで、自作の映画を見て「これ誰の原作、よく出来てるね」などと恍けたことを周囲に言っていたなんて伝説も残っています。井の頭線で1・2度見かけたことのある独特の風貌からすると、さもありそうな伝説と納得できます。
 映画化することで原作の売り上げに直接結びつけたのが角川 春樹という才人で、一連のシリーズ物の映画化は角川書店をかなり潤したようです。今では当たり前のようにこの手法が使われ、”ハリポ“などはとんでもないベストセラーになっています。あれなどは映画化されなかったなら今日の隆盛は無かったでしょう。ただこういった手法が決して邪道と言うことではなく、映画を見ることで原作の持つ全体のイメージを掴み、原作を読むことで作者の細部へのこだわりをじっくり読みこめる利点があります。しかし映画の登場人物の顔がどうしても浮かんできてしまうことはなんとも仕方なく、自分のイメージを構築することが出来ず、この点についてのよい解決策は見つかりません。
 「フライド・グリーン・トマト」という題名の映画を見たのはTVでした。もうかなり前のことですが、その後図書館で原作を借りて読み、つい最近になって古本で手に入れました。映画のDVDもあるようですがこれも中古のみで、値段もかなり高価なプライスとなっています。「なぜ今頃になって・・・」と思われそうですが、この題名となっている“フライド・グリーン・トマト”を食べたくなったからです。この本の巻末にレシピが載っているのです。しかし残念なことに青いトマトを売っている所は近所には無く、畑に行って青いうちに捥いでくるしかありません。どこかにトマト農家がないか探している所です。この映画と原作はそれほどかい離がなく、どちらも大変面白くよい作品となっています。因みにグリーントマトは生でもピクルスにしても、そしてフライにしても大変美味しいのです。

それにしても暑いのね。