2020年 地球の旅

  「2001年宇宙の旅」はスタンリー・キューブリックがアーサー・クラークの原作を見事に映像化した傑作映画だが、“2020年地球の旅”は日米首脳の無能さを世界に知らしめた駄作の現実物語である。マスク二枚で新型ウイルスに対抗しようとする宰相と、消毒液がウイルスに有効と公言する大統領との笑えない掛け合い漫才で進むデストロイヤー号は、ともに国民の税金を無駄に使いまくり不要不急と的外れな政策を駆使して、累々たる借金の山を築いていく。先の見えない新型ウイルスとの“戦争”(二人ともこの戦争と言う言葉が好きで、“戦時大統領”とか“国民一丸となって”などという言葉を連発する)を食い物にして自らの人気を保っていこうとして躍起になっていた。しかし今回のパンデミックの責任を、WHOや中国の体質に感染拡大の原因があると、自らの対応のまずさを棚上げにした言動で顰蹙をかう、お気に入りの検事を検察トップに据えようと法を捻じ曲げてまであれこれ画策最中に、当の検事が賭けマージャンですっぱ抜かれるなどして失敗するお粗末で、両首脳とも支持率は上がるどころか下がる方向にシフトしていたのだった。

   この物語は現在進行中だけれども、先の見通しは悪く役者が三流でイラつくこと夥しい。ともに観客のレベルに合わせた演出との評判だが、その辺りがまたイライラするもととなる。