死のビジネス 3

武器製造が雇用を生み出し“社会を豊かにする”かどうかは議論が分かれるところですが、米、英、仏、独の武器輸出先進国やスエーデン、東欧諸国といった国々、そしてロシア(ソ連時代から)、中国という武器輸出大国がこのビジネスで潤っていることは間違いありません。そして貧しいといわれる開発途上国がなぜ大量の武器を購入できるのかといえば、錫や銅の鉱物資源、石油果てはダイヤモンドまでがその対価として支払われているからです。ディカプリオ主演の「ブラッド・ダイアモンド」という映画はその一端を映像化して見せてくれました。「IS」が石油の販売を資金源としていることは周知のことで、本来であればその国の国民の生活を豊かにするための資源が、あろうことかその国民を殺すために使われているのです。そして前出の先進国などの武器製造者と武器ディーラーはそのことに深くかかわって莫大な利益を貪っているのです。遅ればせながら私たちの国もこの仲間入りを果たすべく法改定をしたばかりです。
日本は戦前戦後を通じて大量の武器を製造あるいは輸入してきた歴史を持っています。遡れば、江戸時代後半から幕末期の武器輸入にはかなりの額を支出していたと言われ、あの坂本龍馬も武器ビジネスに手を染めていました。現在でも自衛隊という組織はアメリカ兵器産業のお得意様であり、この本で書かれているような武器ビジネスの世界が“粛々”と行われているのでしょう。「ロッキード事件」は現職首相が退任後に贈収賄の嫌疑で逮捕されるという前代未聞の事態を引き起こしましたが、右翼の大物がフィクサーとなって介在するこの事件の闇の一部が明るみに出たものでした。この本の第4部でもこの事件に触れられていて、この事件は「ロッキード」というアメリカ産軍議複合体企業の世界戦略の一環であったことがよく分かります。特定秘密保護法や新安保法制の実施でこういった世界は、ますます私たちの目から遠いところに行ってしまったと言えるでしょう。
つづく

一昨日はストロベリームーンとかだったのですが、曇りで見られずに昨日の16夜の月を見ました。まあ確かにやや赤い月が南東から上がってきました。
この写真は月食時のレッドムーンですが、これほどは熟していなかったストロベリーでした。