タイムスリップ

 テレビドラマで、現代に生活する医者が江戸時代にタイムスリップしてしまうという話をやっていました。この手のストーリーは繰り返し語られ、言わば定番メニュウなのですが、何度も創られるほどに人気のあるものなのでしょう。
 時間をさかのぼったり未来に行ったりする話はSF物としての歴史も古く、有名な映画「タイムマシン」や少し前には「バック・ツウ・ザ・フュウチャー」などでもお馴染みです。タイムスリップはそれらとは少し違っていて、偶然異なる時間軸に入ってしまう事故のようなものと言えます。“異なる時間軸”とは、私達の世界と違う時間軸(有るとすればですが、例えばパラレルワールドとか・・)の作用する世界、あるいは同一の時間軸を遡ることで実現する世界などです。なかでも「異なる時間軸」パラレルワールドは、このところの最新宇宙科学でかなりホットな分野と言われ、超対称宇宙とかベビーユニバース、ひも理論、反物質宇宙など、訳の分からないことが飛び交うなかで、かなり議論の対象となっている話題と言います。詳しいことは例に依って分からないのですが、現在の私達の世界が存在することは、他の世界が存在することの証明でもあるようなのです。物質の存在が反物質の存在を証明するのと同じことらしいのですがよく分かりません。しかし映画やTVのように実際に同じような世界があるかと言えば、どうもそういったこととは少し違うようで、結論としてよく分からないという実に曖昧な話です。
 そんな滅茶苦茶な話でも理屈としては面白く、それだからこそ人は繰り返し話を創ります。地球や太陽系がものすごいスピードで銀河宇宙を移動している(太陽系は秒速220キロメートルで移動)ことは既に証明されていますが、他の銀河系の中の同じような恒星や惑星が更に速いスピードで移動しているとすると、そしてそこに生命体が存在するとしたら、地球と時間軸の異なる世界があるかも知れません。反物質とかひも理論で無くともパラレルワールドに近い世界が有る可能性だって否定できないのです。ただ、そういった場所にさえスリップすることは無理でしょうから、映画や本の世界にトリップするしかなく、バーチャルリアリティな空間が出来るまでは空想の世界で愉しむ外に手は無いようです。

影も私