罪滅ぼし その2

第1章 山を収奪するだけでは 山林はさびれます。
 日本は木材資源の豊富な国で国土の大部分は山林によって覆われています。これらの山林の多くはヒトが植林したもので、杉やヒノキなどの林業に関わる山です。しかしその前には天然林があったはずで、その天然林を伐採したのちに植林と言う経済概念をヒトは導入しました。ですが山にとってみれば植林されるのは当然のことで、伐採のままでは単なる収奪な訳です。ヒトと山はこの辺りをうまくやってきた(まあヒトに都合の良い部分が多いのですが)と思います。日本の家屋が木造であることはこれらの関係の中で成立しています。こうして歴史的にみても豊富な木資源を利用した木の文化を培ってきたのです。その国が今では世界でも有数の木材輸入国となっているのです。
 日本の林業は山林が中心で、生育、伐採、運搬にかなりの労力を必要とします。北米や東南アジアの平地林の林業と比較すると、コストが高くつく背景を抱えています。より多くに利潤追求に走る建築業界やその他木材関連業界としては、いきおい安い輸入材に頼るのは当然の成り行きだったと言えるでしょう。政府も関係機関もそういった流れを放置し、場合によっては助長するかのような態度をとってきた経緯があります。その結果国内の林業は廃れ、ますますコスト高な木材を生産するような産業体質が生まれました。これは山林の持っている役割を、単なる木材生産に矮小化したところからくる帰結と言えます。国内林業の衰退が言われて久しくなりますが、国民も林業に携わる人もこの問題の持つ重要性については、あまり敏感で無かったように思います。単なる過疎問題として一緒に議論されたり、つい最近では新たな労働力の受け皿として利用しようとするなど、林業の衰退がもたらす根源的な意味など考えもしなかったようなのです。         つづく

長くなりそうだから 毛づくろいでもするわ