生藤山の桜並木

その昔、藤野から三国山へ登る途中の尾根筋に植えられた桜並木は、生藤山の桜並木として名高いものと聞いていました。そこで、満を持して観に行ったのですがとんだ大外れでした。まず時期が少し早かったようで、桜はつぼみのままでした。下部の辺りではチラホラ程度の開花状況でしたが、どうも今年は1週間ほど遅れているようです。しかし開花の遅れよりも何よりも、唖然とした状況に桜並木がなっているのには驚かされました。
あの辺りは杉やヒノキが植林されています。桜(染井吉野と言われています)の苗木が尾根筋に植えられたのは何時ごろのことなのか詳しくは知りません。けれども陽当たりや生長を考えれば、杉やヒノキの前に植えられたものであろうと思われます。しかしその後の植林などで桜は周りを包囲され、今や青息吐息、枯れ死寸前です。また辛うじて蕾をつけた桜も、光を求めて上に伸びていくために、花を楽しむ枝ぶりとは程遠い状況になっています。いつのころから今のようになってしまったのか、桜を植えた先人の願いはまったく無視されていると思いました。
山林が個人の所有のものであるケースが多いこの国では、山林の保全と活用が不十分で、荒れたままに放置されたり、資源として正当に認識されずにいることが多いようです。山林は再生可能な資源や燃料を生産する場として、市民の憩いの場として、また炭酸ガスを吸収する場として今後ますますその役割を高めていくだろうと言われています。国や自治体がその管理に積極的に関与することを目指すと同時に、山林の所有権を含めて再検討すべき時期ではないでしょうか。枯れて無残な姿をさらす桜を見てそんなことを思いました。
どこかの馬鹿な知事のように、島を買うなどとスタンドプレー見え見えの酔狂でなく、この国の山林を全部国有、公有にしようという政治家は居ないものでしょうか。
  
  植林されたヒノキに周りを囲まれ枯れ死寸前の桜(三国山手前の尾根)