罪ほろぼし その6

第5章 それでどうする え!どうするの。
 第3章で山林の私的所有は再考すべきと書きましたが、今まで林業に携わって来られて人たちの努力によって、山林が守られてきたこともまた事実です。だからそういったことを無視してことを進めるのは出来ないと思っています。きれいに植林され手入れの行き届いた山林は、景観上から言っても見事な風景を実現しています。また現実問題として、所有権を制限するような政策を簡単に実施できる条件も有りません。仮に国民的コンセンサスが出来たとしても、補償やその他もろもろの課題を全部乗り越えるにはたいへんな費用と期間が必要でしょう。しかしそれらを踏まえてもあえて私的所有の制限に取り組むべきであると思うのです。最近では二酸化炭素の排出規制が国際的にも差し迫った課題となっています。樹木はこの二酸化炭素を吸収することで成長します。世界の先進国の中で緑比率の非常に高い日本は、その意味から言っても山林の有効活用に国をあげて取り組むべきです。それには山林、山岳の私的所有の問題を避けて通る訳にはいきません。
 歴史的にみても山林が私的所有されたのは、明治以降であり(きっちりと調べてはいないのですが)言ってみればつい最近のことでもあるのです。明治政府の田舎性を今さら言っても仕方ないですが、山林を二束三文で売り払った罪は大きいのです。そこで元に戻していただいて、山林地主の方がたもさんざん良い思いをしたのでしょうから、ここは一番太っ腹をみせて頂きたいと思うのです。当面は山林、山岳は国有として国が管理運営し、再調査、管理体制の整備がついた後は自治体もしくは公社化した組織などが引き継げばよいと考えます。自衛隊なんかを改組して山林保全隊みたいにしても良いかと思います。
 観光、林業二酸化炭素取引などを中心とした山林利用は、ハイテク、高度医療など従来から日本が持っている世界に向けてのセールスポイント同様に、この国にとって貴重な財産となるはずです。                   フィナーレに続く


やっと終わるのね やれやれ。