第3次世界大戦

 SF物の世界では第三次世界大戦が起きるとその後はデストピアが始まり人類の滅亡、というシナリオがよく書かれていた。時代的には21世紀の後半だったり22世紀に入ってからだったりするのだが、共通しているのは世界大戦が始まればもうその次には“人類滅亡”という結果だった。ロシアのウクライナ侵攻からすでに3ヶ月以上たつが、欧米とロシアとの間接戦争のような様相がますます濃くなってきていて、ウクライナに世界中の武器が持ち込まれ、いつ終わるとも知れない状況が続いている。これはもうある意味では世界大戦の前哨戦であり、世界的な食糧、燃料不足事態を加速させながら欧米とそれに対抗する国々との、覇権をめぐるというよりは価値観をめぐる本格的な戦争状態に突入するのではと思わずにはいられない。

 第1次大戦、第2次大戦が領土や覇権をめぐる戦いであったことと異なり、今回のロシアの侵攻は少し違うような気がする。ウクライナに対する領土的野望を無視することは出来ないけれども、今のロシアにとってウクライナの領土的価値は欧米を敵に回すほど高いとも思えない。プーチンの個人的野望が優先されているとも言われているが、ドストエスキーやトルストイチャイコフスキー、ストラビンスキー、ショスタコーヴィチ、そしてシャガールなどを生んだあのロシアの文化芸術性の高さからは理解できない部分が多い。もちろんスターリンを戴いたのもロシア民衆であった訳だが、だいぶ懲りて学習してペレストロイカとなりゴルバチョフを経て共産党独裁を捨てたのではなかったのか。今回の事態がプーチンを中心としたロシア強権派の仕業だとしても、軍部や資本家の中に居る改革派が皆無とは思えない。もちろん民衆の中には改革派の本体が居るはずだろう。皇帝を否定し共産党をも否定したロシア民衆の良心あるいは理性とも言うべき潮流は途絶えてしまったのか、そんなことは無いと思えるのだが・・・。ともかくこのままではロシアが立ち行かなくなり、世界を巻き込んだ戦争になりかねない。いやすでに始まっているとも言えるかも知れない。

 日本の現政権を担当している自民党内では、ここぞとばかり軍事費を増額して軍備の拡大を叫ぶ勢力が幅を利かしている。残念ながら次の国政選挙ではそのような動きに歯止めをかけることが出来そうにない。欧米諸国が一斉に軍拡に走る中では日本の軍事大国化の印象は薄められてしまう。言い換えれば、世界中が軍拡に走る状況になってゆき、それはとりもなおさず戦争への第一歩となるはずだ。今のところ私の頭の上にミサイルや大砲の弾は飛んでいないが、いつそういった事態が起きてもおかしくない状況が迫っているのではと思う。けれどそれらの事態が軍事費を増額して避けられるとは思えない。インフレで生活苦が増大する状況を放置して「国」を守るために武器を買うなどは主客転倒も甚だしい。“衣食足りて礼節を知る”と言う意味を政権担当者たちは考えるべきだ。

それにつけても、日銀の黒田の馬鹿をどうにかしてくれ。