徹底抗戦

 ロシアがウクライナに侵攻を開始してからすでに2か月が過ぎました。当初予想したロシアの目論見はかなり外れて長期戦となる模様です。当然のこととしてウクライナ・ロシア双方に多くの犠牲者が出ることとなっています。とくにウクライナは戦場となっているのですから非戦闘員の犠牲が多数出ており、街の破壊や市民の財産の損害が深刻な状況となっていると思われます。

 ウクライナ政府はロシアの侵攻当初より徹底抗戦を国民に呼びかけ、欧米諸国には武器供与や支援を要請、外交的にもそれらを進めてきました。その結果として世界的には包囲網的状況を創り出してロシアの孤立化を進め、当初の予想を覆した長期戦となる様相を示しています。中国の古い戦略論に「善く陣を敷くものは戦わず、善く戦うものは負けず、善く負けるものは滅びず」というのがあります。ロシアとウクライナは軍事的力量に格段の差があり、当事者同士のみで戦えばその勝敗はロシアの圧倒的有利で終わったでしょう。いまさら言ったところで何の役にも立ちませんが、ウクライナの戦略的後退、あるいは負けを次善策として考慮に入れた戦術は無理だったのでしょうか。多数の市民が犠牲となり、街が壊滅するような悲劇を回避することを最優先とした戦略的、戦術的な対応という選択肢もあったような気もします。

 今となってはまず停戦を双方に合意させるため、国際的機関である国連が中心となって、あらゆる努力を早急に効果的に推し進める必要があります。具体的には戦闘地域にグテーレス事務総長はじめとした国連幹部が直接入り戦闘行為を中止させるぐらいの行動が、あるいは各国首脳がウクライナで停戦のための緊急会議を開催するとかの思い切った取り組みが必要ではないでしょうか。これ以上の戦火の拡大は何としても食い止める、このことが急務であると思うのです。

 今のところミサイルも砲弾も飛んでこないこの国では何を言っても切実感がありませんが、”徹底抗戦”と言うフレーズは”一億総玉砕”と叫んでいた77年前の日本を思い出します。と言っても僕は生まれていないのですがその時には。