東京都民としての見識

 都知事選挙は予想通りの結果で終わった。小池都知事は全市区町村で得票率がトップとなって2位以下の候補者に大きく水をあけて当選した。テレビは午後8時の投票締め切りと同時に小池候補の当確を伝えた。予想されていたこととは言え、かつて美濃部都政を誕生させた都民は何処に行ったのかと、今回もまた思わざるを得ない結果だった。

 360万票を大きく超えた支持を与えた都民は、小池都知事の何を評価しどんな期待をもったのだろう。総投票数の6割もの得票は都知事選挙史上2番目であり(因みに433万票を得票した第1位の猪瀬元知事はあえない幕切れで辞職するというお粗末だったから、都民の支持もかなり割り引いてみないといけないのだが・・・・)、自民、公明の参院選得票数を100万票以上も上回った結果であった。小池都政のこの4年間はそれだけの評価を残したとはどうにも思えない。東京都民の見識を疑いたくなってしまう。

 また極右候補が18万票近い得票だったことも驚きであった。この候補は前回も立候補していて、得票数を1・5倍に伸ばしたと言う。ヨーロッパでの極右政党の伸長が対岸の出来事とは言えなくなってきた。極右とは言えないかもしれないが、日本会議という組織と深い関わりのある安倍首相をはじめとする政権幹部たちが跋扈するこの国の現状は、すでに「戦後民主主義」という衣を脱ぎ捨てて久しい。そのことを都民は改めて追認したのだろうか。今回の都知事選挙がこの国の民主主義の終わりの始まりとならないよう願う。