選挙戦

もう大分の前のこととなりますが、公職選挙法が改定されて街宣車やビラの配布が厳しく制限されるようになり、“選挙戦”などと言う言葉もそぐわないほど静かな選挙が行われるようになっています。
都知事選挙も終盤ですが町は静かで、候補者の連呼などは全く聞こえず、宣伝カーさえやってきません。郵便受けの中にいっぱいとなった宣伝ビラも今は昔で、“選挙運動”という言葉が死語となった思いさえします。繁華街やターミナル駅周辺では休日ともなれば候補者の街頭演説会が開かれるのでしょうが、住宅街はいつもと同じ静かな朝を迎えています。
青島 幸雄という人が知事選に立候補したとき、候補者本人は確か海外か何処かに旅行してしまい、一切の選挙運動をせずにそれでいて当選したことがありました。当時の鈴木 俊一都知事の「世界都市博覧会」開催に反対して立候補した選挙で、告示直前の立候補にも拘らず、これといった選挙運動もないまま当選しました。青島 幸雄さんはもともと知名度抜群のマルチタレントでしたし、参議院議員としても活躍した経験があった人でしたからそんな離れ業が可能であったのかも知れませんが、何とも痛快な当選ぶりでした。
その青島都知事が2期目を辞退し、有力な立候補者が居ないことを見越して出たのがあの石原 慎太郎氏だったのです。あの人は都知事選で美濃部 亮吉さんに負けた経験を、きっとトラウマのように持ち続けていて、絶対勝てる選挙まで待っていたのでしょう。セコイ人です。
東京都民が今度はどの人を選ぶのか、前回の都知事選挙で1年しか持たない人に430万票を投じた都民がどのような投票行動をとるのか、考えるとぞっとしますが民主主義のルールの中での結果と受け入れざるを得ません。あれもやります、これもやりますという公約はやたら嘘っぽいから、青島さんのように争点を絞って信を問うといったやり方も悪くないと思うのですが、どうも候補者ともなるとそうはいかないようです。国に対しては脱原発、都民に対してはオリンピックを返上してその予算を震災対策に振り向ける、この2本立てで充分選挙の争点になると思ったのですが・・・、どうもそのようにはならずに今度の日曜日は投票です。

アンニュイね