妄想

 「妄想」とは、みだりなおもい、正しくない想念・・・などと広辞苑には書いてあります。蛇足ですが、“みだり”という意味は“みだら”とは違うようで、「妄想」とは“淫らな想い”と考えていた私は“ブー”でした。因みに「みだり」とは“筋道のたたないこと、勝手気ままなこと”と、これもやはり広辞苑には書いてあり、したがって「妄想」とは冒頭に書いたような意味となるのです。さてここからが本題ですが、これは妄想です。
 記録的な寒波の襲来によって、福井や新潟では例年の4倍から6倍の降雪があり、道路にはトラックが溢れ大渋滞となり、一昼夜にわたり動けなくなるという事態も起きました。ことはそれだけでは済まず、特に福井で起きたトラック渋滞は死者まで出して、また周辺の繊維産業を中心とした工場群は、数日間にわたり操業を停止せざるを得ない状況になったようです。中小企業が多い工場群は大きな打撃を受けていると言われます。そこで思うのは、警察や行政は何で早めの手が打てなかったのかという疑問です。すでにあの大雪の数日前から天気予報では強力な寒波の近づいていること、大量の降雪は予想されることなどについての警告を流していました。積雪が深刻になる前にすでに高速道路は閉鎖され、大量のトラックは一般道に向かい渋滞が進行していたのです。そんなときに間抜けなトラックの一台が動けなくなれば、すぐさま大渋滞となることは容易に想像がつき、数年前に関東甲信を襲った大雪では中央道や一般道で大混乱が起きたことを考えれば、今回のようなときにはそれらを教訓にして事前に手を打つことが何よりも重要である、というような結論は馬鹿でも考えついたはずなのです。具体的には、県警や行政担当はパトカーを幹線道路に配置しパトロールを強化、また除雪車両の確保と出動に備えるなどを手配し、渋滞発生をいち早く把握して必要な措置をとること等々でしょう。ニュースなどで見る限り、渋滞が始まってしばらくは無策な状態が続き、関係機関が動き出した時にはすでに手の打ちようがないという、いつものお定まりのコースをたどったようでした。
 無能を絵に描いたような出来事で、もし私が現場に居たら、一昼夜も車に閉じ込められていたら、車に火をつけてそこらじゅう火の海にしてやる、と深く妄想したのです。

疲れていない?