税金  その3

 先進国の税収などの歳入は国民総所得の3割から5割となると言われています。北欧やヨーロッパでは4割から5割、アメリカや日本は3割から4割弱なのだそうです。これが開発途上の国々では1割台から2割台と言われ、必然的に社会資本の欠ける状況を生み出しています。経済的に豊かでなければ国民は高い税金を負担できないし、高負担を担保するには民主的で透明性が確保された政策決定が必要となります。アメリカや日本の歳入のパーセンテージは、情報公開度や男女平等、女性の社会参画度などの“ランキング結果”に対応するものとも言えます。税制度を効果的に運用し高負担高福祉社会をいかに実現するか、これが21世紀の目標とすべき課題であり、テロや貧困、格差社会に対抗する有効な手段ともなりうると思われるのです。国際的に見れば先進国と開発途上国、あるいは富裕国と最貧国などとの間の様々な格差および政治環境の違いは、単一の処方箋ですべての国々を満足できる状況にはないと言えるでしょう。しかし基本的な方向としては、富裕な階層並びに資本を所有する個人・組織への、累進的課税を前提とした税制度を採用することになるはずです。残念ながらアメリカや日本、イギリスなどの経済先進国は、そう言った方向とは逆の税政策を採っています。累進的課税を緩和し法人や高所得者の国外流出を防ぎ、経済成長を促し資本収益率を上げて歳入の増加を図ることが狙いのようですが、その結果は芳しくありません。国内の貧困層は増加して格差は拡がるばかりなのです。しかし高度経済成長の夢よもう一度とばかりに、景気浮揚策の大盤振る舞いの政策は一定の支持を得ていることも事実であり、どうも世の中一筋縄ではいかないのです。
 今年はアメリカ合衆国大統領が新たな顔に変わります。アメリカ合衆国という政治的軍事的経済的大国の、まさに一挙手一投足に世界中の目が注がれる年となります。アメリカの目下の同盟者という役割を忠実に演じ続けてきた“大国”日本は、トランプ新政権とどのように関わっていくのか、またトランプ新政権が日本にどのような要求をしてくるのか、ある意味では大変面白い年になりそうな予感がします。気楽な部外者としては波乱含みの2017年は“期待”の持てる年でもあるのですが、同時に厳しい現実と向き合うことを余儀なくされる年ともなりうる訳でもあり、高負担と格差拡大、社会不安の増大などがトリプルで攻めてくることだって十分に考えられます。そうなった時にどう対処すればよいのか、正直に言ってお手上げなのです。「火事場のバカ力」に期待をかけるほかに術がないように思えます。                お終い。


御退屈様