為替は固定制に・新鎖国主義のおすすめ その1

 円安が急速に進み、このところの株価上昇と相まって、一寸したミニバブルのような様相を見せています。おかげでガソリンは値上がりが止まらず、おそらく春ごろには輸入品を原材料とした食料品や加工品が目白押しに値を上げてくるのではと、頼りない財布の中を見つめてため息が出る立春の朝(4日のこと)です。
 私は前々から、通貨を売り買いして巨額の利益を得るという為替変動制という制度が、不思議で不思議でなりませんでした。私の子どもの頃は1ドルが360円という固定相場だったのです。為替が変動相場制になってからすでに久しく、今さら何を寝ぼけたことをと思われそうですが、各国間の通貨レートを固定化し、輸入品に対しては関税をかけることで貿易のバランスをとる制度を、「自由経済」の名の下に撤廃に熱心であったのはアメリカなどの先進国でした。関税制度を無くして貿易を活発にすることは、当時の先進資本主義国にとって圧倒的に有利なことであり、そのことは今も基本的には変わりません。TPPやユーロー圏などの関税なし貿易システムは、共存共栄を目指す資本主義経済社会の象徴のように言われていますが、経済格差が大きく工業力の水準に隔たりのある国にとっては決してバラ色ではないはずです。また先進国の労働者にとっても、産業の空洞化に伴う雇用機会の減少や賃金の抑制などの現実がのしかかり、失業や生活不安、将来展望の不透明さと言った問題に直面することとなります。ではそういったシステムは誰が得をするのかと言えば、無国籍化した巨大資本とそれを支える出資者たちということになるのでしょう。つまり私のような下々にとってみれば得るところの少ない、時折落ちてくる水で渇きをいやす程度のシステムでしかないと言えるのです。
 
 ほほほ・・ 下々だって