生業(なりわい)

“職業に貴賎なし”などと言いますが、なかなかどうしてピンからキリであると常々思っております。
まずキリのほうから申し上げますと第一には「ペット販売業」などが挙げられます。これは現代の奴隷商人ともいうべき存在で、同じように「ブリーダー」などと言う胡散臭い人たちも同類と思われます。これらは生き物を生きたまま商品とする、あるいは強制的に繁殖させて子供を売るというヒトにしか出来ない非道な生業と申せましょう。造園業などというのも植物を勝手に切ったり曲げたり穿り返したりすることで、本来の自然を破壊してしまう悪行をなす職業です。「ガーデナー」などという気障な呼び方などは胸糞が悪くなります。昨今流行っている「盆栽」なんていう奇形を好む悪趣味な道楽は、その最たるものと言えましょう。また、「動物園」は強制収容所あるいは見世物小屋の変形であり、ナチスの犯した過ちを反省しないマゾスティックな欲求不満が昂じた果ての業と言ってよいと思われます。あんなものを子供に見せて喜んでいる親を見ると、ヒトの加虐し好を嘆かずにはおられません。また、動物に芸なるものを仕込み、これを見せることで金銭を得るという職業も悪しきものと言わざるを得ません。芸を仕込むのであればヒトのみで充分であり、あえてイルカやサルやライオンに仕込む必要性はないと思われるのです。同様にそのようなものを子供に見せて、あるいは自分でも見て喜んでいる輩は下種の極みと申せましょう。
ではキリではないピンのほうはないのかと考えましたが、これがすぐには思いつかないのです。あえて挙げるとすると、職業と言ってよいか判断に迷うところなのですが、「ホームレス」が自然や環境や他の動植物に与える負荷が少ない、ヒトの活動としては唯一の生業と言えるのではないかと考えているところです。何も生産しない、生きるのに必要な最低限のものを何らかの方法で得るためにだけ活動する、つまり職業としないで自分の食い扶持を得るためにだけ働き後は寝ている、これがヒトのあらまほしい姿と言えるのではないでしょうか。ただし私は強欲なもので下種の仲間となっています。

私の生業は神職