身の丈、身の程

ヒトがこの星の上に出てきてからせいぜい20万年ほどと言われていますから、地球生物史から見れば新参者です。その新参者がすごい勢いで増殖し資源を食い尽くし、環境を破壊していることはご案内の通りですが、昨日の話の中に出てきた「アイヌ」という人たちは、自分たちの周りの自然とうまく折り合いをつけることで豊かに生きてきたと言います。乱獲や収奪といった荒っぽいことを出来だけ避けて、必要なものを必要なだけ周りの動物たちとも分け合って使う、ヒトも動物も場合によっては神さえも同じ土俵の上で生活していると考えていた節があります。
TVで観たモンゴルの遊牧民の話ですが、家畜の羊がユキヒョウに襲われてもユキヒョウを退治しない、なぜならユキヒョウが居なくなると草食動物が増えて羊のエサが無くなるからで、ユキヒョウには病気の羊や悪い羊を襲うように祈るだけだ、と言っていたことが印象的でした。ユキヒョウの生息する地帯では生態系の頂点にいる動物がユキヒョウであり、それが居なくなることは生態系の破壊につながる、そういったセオリーを彼らは経験則で理解していたのです。アメリカ先住民がバッファローを狩って生活していたころ、決して必要以上の狩はしないとの掟があったと言います。しかし入植してきた白人たちによってバッファローは毛皮のために乱獲され、絶滅の危機に追い込まれました。もちろんアメリカ先住民たちも多くの動物を食料として捕獲して絶滅させています。しかしそういった経験が自然と折り合いをつけて暮らすことを、そうすることが自分たちの暮らしを守ることになると学んでいったのです。
アイヌ民族もモンゴル遊牧民アメリカ先住民も、自然と折り合いをつけることを大事にしている点で共通しています。採取、狩猟、放牧といった自然と密接な関わりを持った生活を送っていたことが影響していたと思われます。
農耕は自然を利用、あるいは組み伏せて収穫を得るとも言えます。どうもこの辺りに身の丈、身の程を超えてしまったヒトの問題点が潜んでいるような気もするのですが・・・。

そうよ、身の丈に合った生活が大切。