御嶽山の噴火

大変な惨事となってしまった御嶽山の噴火ですが、昨年の9月初旬に登った時のことが想い出され、他人ごとではない気持ちです。You Tubeにアップされた動画では、噴煙が急激に襲ってくる様子が映されていました。あの方たちがどうなったのか、無事に下山していればと思います。おそらくこんな事態は今までになかったことと思われ、日本登山史上でも特筆すべき惨事であり、活火山に登ることの怖さを思い知りました。
紅葉のシーズンでもあり、土曜日、昼時という登山者が一番多い時間帯に起きた噴火であったことが今回の悲劇でした。水蒸気爆発や小規模噴火は事前予測が難しいと言われていますが、まさにそういう中で“起きてしまった”としか言いようのない事態であったのでしょう。ただ、活火山でもあり今世紀に入ってからも水蒸気噴火を起こしている山でもあるのですから、避難シェルターなどの設置が万全であったらと悔やまれます。
国や自治体の取り組みが、基本的なところでずれていると思わざるを得ないのです。富士山の「世界遺産登録」にしてところで、活火山の富士山に対する備えはほとんど皆無といって良く、粗末な山小屋と施設不足の状況は全く手に付けられていません。行政は「登山」というジャンルにどのような意義と目的を考えているのか、甚だ疑問です。たんなる「観光」という括りでしか問題を捉えていない、“民間主導”という丸投げ行政で山小屋経営者やお土産店、地元観光業者などの言いなりになっているようにも見受けられます。
「山岳観光」の本場でもあるスイスやイタリアでは、国が基本的なガイドラインを決めてルート整備や施設整備を行っていると言われ、観光政策の一環として「登山」を捉えているようです。活火山が多く、そういった山に日常的に登山者が数多く入山しているこの国の現状をどのように考えるのか、国も自治体も今回の惨事を教訓にして方策を立てるべきです。

昨年の御嶽山頂上からの日の出