夢の中へ

このところ、と言うよりはもうかなりになるが、夜中に一度は必ず起きることになってしまった。写真の方が起こしにくるのだ。“夜食”と言う悪い癖をつけてしまい、幾度か止めさせるための方策はとったのだが、こちらが根負けして、どうせトイレにも起きることもあるのだからと、諦めて昨晩も起きている。
気がついたことがある。夢をよく見ると言うか、覚えているようになったのだ。ヒトは一晩の間にかなりの頻度で夢を見ているらしいが、朝起きるとそのほとんどを忘れている。夜中に起こされる(私の場合は午前2時前後)と、夢見の最中ということも多くあるから、もう一度寝たとしてもかなりの部分を翌朝まで覚えているらしい。それでも昼ごろになる頃には夢のほとんどは忘れてしまうから、あまり覚えているとは言えないけれども、午前中のうちは“夢かうつつか、寝てか醒めてか”といった風情になることがある。夕べ見た夢もこのブログのネタになりそうだとうつらうつら覚えていたのだが、もう午後となったら忘れている。夢の中へ戻れるのなら戻っていきたいような夢も時にはある。もう一度眠ると夢の続きに戻れるみたいなことが、お話の中には出てくるけどそんなことは無いようだ。
「エンジェルス イン アメリカ」という、アル・パッチーノやメリル・ストリープエマ・トンプソンなどそうそうたる俳優が出演しているTV映画の中では、主人公の一人が先祖の亡霊と天使が出てくる暗示的な内容の夢を繰り返し見る。同性愛者でエイズで苦しむ主人公は、夢の中で生き抜く道を見つける。私たちが現実に見る夢は断片的で繋がりなどないが、夢が意識や経験の反映であることは間違いないであろうから、その内容をあれこれ考えてみるのも暇つぶしにはなるかも知れない。「三四郎」の中では廣田先生が見た夢の話ある。20年ばかり前に会った12・3歳の女の子の夢である。夢の中では相変わらず12・3歳の女に向かって、“貴女は全然変わらない、僕は歳をとった、貴女は絵だ”と言うとその女は“貴方は詩だ”と言い、そこで目が覚める。いずれにしても、たまには一晩ぐっすりと朝まで起きずにいたいとも思う。

夢の中