花も紅葉もなかりけり

ン十年ぶりで乾徳山の頂上まで登ったのは先週のことでした。あの史上最悪の工事渋滞に巻き込まれた日です。“頂上まで登った”と書きましたが、じつは数年前にも行ったのですが、その時は天候が崩れてきたので頂上まで登らずに帰ってきたのでした。
11月の後半ともなると山はほとんどが紅葉も終わり、葉を落としての冬支度となります。葉を落とした山は展望の山となります。乾徳山の頂上は岩場ですからフルシーズンで展望良好なのですが、空気が乾燥するこの時期からは一層展望がきくようになります。そして麓では最後の紅葉が見られる時もあり、うまくいけば紅葉と展望の両方が楽しめる季節でもあるのです。
今回はすでに麓の紅葉も終わり、枯野の大平牧場ルートから登ったのですが、天候には恵まれ富士山が終日望まれました。去年、御嶽山に登ったおりには今年の惨事など思いもしませんでしたが、富士山とて活火山ですからいつ噴火するかも知れず、ひょっとする端正な富士はこれが見納め、なんてこともあるかもと思いながら眺めたのでした。
それにしても、どこの山に登っても高齢者が多いのには驚かされます。まあ他人のことは言えない“ご同輩のよしみ”ですから、出来るだけそれらと交わらないように早々に頂上は後にしてきました。とにかく団体で来るのが多いから五月蠅いんだ、あの人たちは。それに頂上で飯など食べるから邪魔だし・・・と、どうもつい悪口が出てしまいます。年寄りが元気なのは良いこと、と小泉の若旦那は以前に言っていましたが、たしかに山に登るぐらいの人たちは介護保険の世話にはなってないでしょうから、そのように考えればまあ納得も出来ます。なんせ介護保険料は高いですからねえ。
乾徳山の頂上直下の岩場はすっきりとした花崗岩で、鎖のご厄介になりながら登りましたが、やはりいいですねえ、花も紅葉もないけど360度の展望でした。

乾徳山頂上からの富士山