まるで熱病に浮かされ・・・

首相の私的諮問機関である「安保法制懇」の報告案がきょう提出されます。“すでに結論ありき”の出来レースで今さら驚くには当たらない報告ですが、昨日の新聞にその報告の要旨が掲載されていました。ざっと目を通しただけの感想ですが、一口で言うと落語の「ちはやふる」と同じ勝手な解釈を並べただけのもので、落語のほうはちゃんと落ちが付いていますが、この報告のほうは尻切れトンボの手前味噌です。
安倍首相は何としてもこの国を軍事大国として世界にお披露目したいらしく、中国や北朝鮮の“援護射撃”を追い風にしてことを進める気です。現行憲法の「前文」を読めば今回の「法制懇」が、いかに憲法とかけ離れた解釈を試みているのか明らかでしょう。まるで熱に浮かされているような首相のあの執念は、一体どこから来るのか感心はしませんが驚くばかりです。
多くの隊員が“就職先”として選んでいる自衛隊の在り様、性格を、大きく変えることとなる今回の一連の動きは、単なる首相一個人の思惑のみで突き進めてよいレベルの問題とは異なります。憲法という国の決まりごとを守るべき政府が、立法や司法の判断を飛び越して独走することとなる事態に、民主主義の危機を感じるのは私一人ばかりではないでしょう。まったく老人をあおるのは止めてほしい。
因みに、頭で触れた落語「ちはやふる」はこの頃ではあまり演じられないから簡単に説明すると、「ちはやふる 神代もきかず 竜田川 からくれないに みずくくるとは」という和歌を、知ったかぶりのご隠居だったか大家だったかが、竜田川という相撲取りの話にして適当な解釈をする落語です。そのあまりの飛躍振りが面白いのですが、「安保法制懇」の報告は面白くもなんともなく、詭弁を弄し私たちを愚鈍扱いするものでしかありません。舐めんじゃない、と言いたい。

猫パンチ行くわよ