対案なんか無い

安倍首相は国会答弁の中で盛んに“憲法違反というなら対案を示すべき”と言います。「新安保法制案」に対案などありません。だいたいこんな法案は必要ないのですから対案などあろうはずがないのです。首相が想定するような事態が仮に起きたとするなら、まず外交交渉を優先させ、必要であれば首相自からその現場に赴き体を張ればよいだけのことです。それで防げなければその時は国民一人一人が個別自衛権を発動させて対応すればよいはずです。何よりもそういった事態を起こさせないための外交能力を養うのが先決です。中国や韓国とろくに口もきけない宰相では困るのです。アメリカとだけ意志の疎通をしても“地球を俯瞰する”外交とは言えないでしょう。
昨日の国会では小野寺元防衛庁長官の“ちょうちん”質問に、安倍首相はここぞとばかり得意となって持論を展開していました。まあ与党の質問というのは政府の言いたいことを言わせるのが目的ですから、提灯だろうが懐中電灯だろうが構わないのですが、答える首相は声のトーンまで変わり自分に酔っている風で、それでいて中身は無いという田舎役者の三文芝居を見せられるこちらはタマッタもんではありません。見なきゃよかったと思うことしきりでした。
「新安保法制案」を実現させることは政治家としての当然の責務と胸を張った安倍首相が、維新の質問には媚を売り、橋下最高顧問には秋波を送るかのような“オモテナシ”をする背景には、今国会での予想外のモタツキがあると思われます。圧倒的多数の与党をもってしても無理と綻びの目立つ「法案」は、ゴリ押しするか維新の修正案に乗るかの二者択一を迫られることとなるでしょう。残念ながら廃案という可能性は少ないのですが、世論の盛り上がりが奇跡を呼び寄せることに期待します。

期待します。