「国土強靭化法」って何だ?

日本自然保護協会の機関誌「自然保護」3・4月号では、「国土強靭化法がやってきた」という特集記事を組んでいます。私も知らなかったのですが、特定秘密保護法で大騒ぎだった去年の12月に制定された法律で、何やらとんでもない内容の法律のようなのです。
どんな法律なのかを一口で言ってしまうと、公共事業を大っぴらに実施できる法律であり、従来型の政府主導の大規模開発を国土強靭化という大義名分のもとに、国民にはその事業への協力を義務化するという、まるで時代錯誤の法律のようなのです。もともとは自民党議員立法として2012年に提出された「10年間で200兆円を費やす」という“バラマキ”法案が下敷きとなっているらしく、国の会計を左前にし1000兆円もの赤字を生み出した元凶とも言える歴代自民党お家芸を明文化したような法律なのです。
具体的にはすでに進められている「東北防潮堤計画」、「リニア新幹線計画」などのビッグプロジェクト満載で、その上今後予定されている「整備新幹線計画」、「高速道路計画」、ダム建設など新規事業が目白押しとなる予定だそうです。もちろん、既存施設の改修、補強などもこの法律で実施されることとなっていますが、眼目は何と言っても巨額の公共事業と言える新規部門であり、あの「列島改造論」の焼き直しとも言える内容となっているようです。そしてこのような事業が情報公開規定や市民参加の担保がないまま進められようとしていて、非民主的であり透明性ゼロの法律となっていると同時に、環境への配慮については実効性が伴わない内容と言われます。
こんな法律をあのどさくさの中で成立させてしまうという姑息な政府に、改めて憤りを感じるとともに私自身何も知らなかったという迂闊さに、何とも情けなさを覚えます。出来るだけ多くの人達がこの法律の重大さに注目して、“土建バブル”の再来で国中が取り返しのつかない環境破壊の状況にならないよう、しっかりと見張っていきたいと思っています。気の利いた図書館には自然保護協会機関誌「自然保護」が置いてあると思われますので、ぜひご覧ください。

おひさしぶり