歴史的なこと その1

私たちの国は明治維新を境に急速に西欧化を進め、それまでの伝統文化を投げうっちゃてきた経緯を持っています。富国強兵を目指した明治政府にとって西欧の文明を取り入れることは最優先事項であり、千年の文化を切り捨てても欲しいアイテムであったのでしょう。そのお蔭かどうかよくは分かりませんが、アジアの中でいち早く西欧列強の仲間入りを果たして、あげくに原爆の実験にまで付き合わせられることになるのですが、思考方法や価値観その基準点としての軸足を、西欧文化圏に置くという傾向を強く持つようになったと言えます。他のアジア諸国からは「日本人はバナナだ(外は黄色で中は白)」と言われたりもする遠因ともなりました。
西欧文明を無理やり押し付けられた国々も多くあります。アジア、アフリカ、南北アメリカなどで、植民地として一方的に西欧列強に君臨された国々です。有史以来人類はあちこちで取ったり取られたりすることを繰り返してきましたが、国という組織が出来るとそれらの行為がさらに大規模となり、いわゆる侵略、略奪、暴行、殺戮という定番コースが恒常的に行われる戦争が多発します。戦争は文明を飛躍的に発展させる要素があり、武器の開発や医療の進歩は言うに及ばず、都市計画や文化、果ては人種の混血にも多大な貢献をしてきました。もちろんそのために国民と呼ばれる人々は、とんでもない犠牲を強いられることとなったのですが、ユーラシア大陸内での取ったり取られたりの戦争は、15世紀半ばから始まる大航海時代によって植民地獲得戦争に移ってゆきました。この戦争では西欧列強が一方的にアフリカ、アジア、南北アメリカの国々を定番コースでやりまくることとなったのです。植民地という訳のわからない理不尽な境遇に置かれたそれらの国々では、20世紀半ばまでその理不尽な状況が続き、文化や宗教までもが強制的に持ち込まれました。しかし植民地はあくまで収奪の場であり、文明や文化を共有して共生する場ではないので、そこに暮らす現地人にとっては、奪われっ放しでありやられっ放しであったのです。
つづく

眠い