自己管理能力の欠如  その2

この国の半数以上の自治体は何らかの意味で過疎地域と言われています。国や都道府県の指示待ち体質の多いこれらの自治体は、自分たちの管理すべきトンネルや橋や道路がどの程度痛んでいるかなんて、きっと考えもしなかったのです。だって、5年もすれば担当は変わるし、20年もすれば委託した事業を知っている人さえ居なくなってしまい、耐用年数の40年50年経過したあたりになれば、職員はそっくり入れ替わって何の痕跡も残っていないのです。しかし考えてみれば、これは過疎地域だけの問題ではなく、大都市の自治体も効率化の名の下に「下請け・民営化」が各事業で進み、自治体職員の現場対応能力は年々低下してきており、今後資料の保存などがズサンになれば、地方都市同様の状況になる恐れは否めません。地方主権とか地方の時代とか言われて久しいのですが、実態はお寒い限りであることが今回のトンネル事故で、改めて浮き彫りになってしまったと言えるのでしょう。
こういった状況を放置することは民主主義そのものを揺さぶりかねないのです。とくに市町村という自治体は基礎自治体とも言われ、住民、つまり私たちの生活に密接につながる多くの事業を所管しています。その組織がズサンであったり能力低下が進んでいることは、大げさでなく地方自治という制度の根幹に関わることなのです。私たちの憲法の3本柱は国民主権、平和主義そして地方自治です。その地方自治の重要な担い手が基礎自治体である市町村な訳ですから、この組織が疲弊することは、とりもなおさず憲法の屋台骨が揺らぐことになるでしょう。そして、自治の基本は自己管理能力の確立であり、この部分に危惧があるとすれば、自治機能は致命的な状態となってしまう恐れがあると言えます。ことはトンネルの管理だけの問題ではないのです。          つづく
 
 うーん