小柴垣草子

表題をみてピンとくる人は余程の“好きもの”か、あるいは古典に通じた人です。私もつい先ごろ知りました。前にも取り上げた堀田 善衛の「定家 明月記私抄」を拾い読みしていたら出てきました。「小柴垣草子」はこの国の代表的春画の絵巻(源氏物語といい、この草子といい、まったくこの国のあの時代は何とも先進的だったことか)と言われているらしく、もちろん現物をみていないので、どんなすごいものかは知る由もありません。ただ特筆すべきは、この本の注釈を後白河法皇が付けていることです。この法王は、低視聴率にあえいでいるNHK大河ドラマ「平 清盛」でもこれから頻繁に出演するであろう人物です。34年間にわたり院政に君臨した法王で、今様を好み「梁塵秘抄」などを編纂させた法王でもあります。当時の院政天皇を凌ぐ権力を行使した機関で、言わば貴族制度の頂点に居た帝王であったのです。その人が、こともあろうに「エロ本」に関わるとは何とも凄まじいというか、進んでいるというべきか、現宮内庁も少しは参考になさったらよろしいかと、皇太子妃の病気を思うにつけ考えを巡らします。
 何を書いているのか自分でも良く分からなくなっていますが、つまり、どうやらこの国の最も神がかっていて伝統的と言われる部分に、かなり人間臭いものがあった訳で、現天皇が「火葬にして欲しい」とか「合葬がよい」などと言っているのは、涙ぐましいくらいのつつましさと思うのです。そう言えば、あの後白河さんは清盛にちょっかい出したり、義仲や義経に粉をかけたりで、政治的にもいろいろ欲の多い方であったようです。現天皇家は後白河さんとは系統が違うのでしょうが、天皇家の二男坊などはあの法王さんとやや似た性格をお持ちのようにも見受けられ、やはり伝統は脈々と流れているのかと妙に感心してしまうのでした。
 
 まったく 何を書いているんだか・・・